2011年8月25日木曜日

アナリストのお仕事は「空・雨・傘」

おかげさまで、最近ではお客様のところにお伺いしてインターネット周りの現状や注目のトレンドなどをお話しさせていただくことも多くなりました。都度お客様の興味関心に沿うようにテーマを変えてお話しさせていただくので、そのたびに新しい資料を用意するわけですが、タイミングによってはいくつかの案件が重なって、大変な状態になることも少なくありません。

自分が今何をしているのか見失いそうになってしまうのですが、そんなときは、全体観を掴むため、わかりきっているような簡単なことでも紙に書いてみるようにしています。

今日も自分を見失いそうになったのでちょっと落書きをしていました。

テーマは「レポート作成の手順」です。

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・・・なんというか、本当に描くまでもないことですね。。

でも、この絵を見て、「あ、これって、(このレポートに限った事じゃなくて)まさにアナリストの仕事だな。」と思ったのです。つまりこういうことです。

アナリストの仕事
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で、ここまで考えてふと思いました。

あれ?この絵どこかで見たことあるな・・・

と。そして次の瞬間、思い出しました。日経ビジネスAssocieで特集されていた「ストーリーシンキング」のアレと同じなのです。

ストーリーシンキングは物事を「問題解決に至るストーリー」として考える思考方法で、仕事を進めていくうえで自分がやるべきことを明確にしたり、人に動いてもらうために必要な”ストーリー”を重視するのがポイントです。
同誌では「空・雨・傘+HTD」というストーリーの”型”が紹介されていたのですが、考えてみたらこの「空・雨・傘」が上の図とぴたりと一致するのです。

(日経ビジネスAssocie 2011年8月16日号 p.28より)
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普段僕らがやっている仕事、つまりアナリストの仕事ってまさにストーリーシンキングだったんだな、と一人で妙に納得した瞬間なのでした。

アナリストの仕事
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そして、こんな絵を描いて現実逃避している間にも着実に締め切りは迫りつつあるのであった

2011年8月24日水曜日

日経産業新聞にインタビュー記事が掲載されました

今朝の日経産業新聞に、こないだ電話口で対応させていただいたインタビュー記事が掲載されていたのですが、驚いたことに同じ記事の中に、元同僚の名前が。

日経産業新聞 2011年8月23日版

思わず「俺らどんだけ仲良いんだよ!」と突っ込みそうになってしまいました。

まぁ何はともあれ、改めて業界は狭いなぁ、と思った一日でした。


・・・あ、そういえば、いつもお世話になっている銀座セカンドライフの片桐さんも産経新聞のビジネスアイに掲載されていました。今日は何だか新聞に縁があるなぁ。。

産経新聞のビジネスアイ 2011年8月23日版

2011年8月23日火曜日

パソコン利用のシニア、もっとも信頼していないメディアは「テレビ」

昨日、NTTレゾナント株式会社が運営するインターネットアンケートサービス「gooリサーチ」から興味深い調査結果が発表されていました。

60歳以上の消費者モニターを対象にした「シニアの情報端末保有状況に関する調査」(有効回答者数は8,393名)の調査結果です。

総括は以下の通り。

総括
(1) 60歳以上の就業者割合は40.6%
(2) 普段利用している情報端末は「テレビ」「固定電話」「携帯電話・PHS」
(3) スマートフォンのアプリダウンロード率は86.1%、うち有料アプリは45.1%
(4) 普段利用しているインターネットサービスはオンラインショッピング
(5) 平日のメディアへの接触時間はテレビ、パソコンが長い
(6) 最も信頼しているメディアは新聞、信頼していないメディアはテレビ
(7) 地域イベント情報の入手先は「回覧板」

詳しくはNTTレゾナント株式会社のプレスリリースをご覧いただければと思いますが、特に面白かったところをいくつかピックアップしてみます。


スマートフォンのアプリダウンロード率は86.1%、うち有料アプリは45.1%

アプリダウンロード率は私が思ってたよりも高い結果でした。スマートフォン所有者のうちアプリをダウンロードした者の割合は有料アプリ、無料アプリを併せると86.1%、60~64歳のセグメントに関しては、40.8%が有料アプリをダウンロードしたことがあると回答しています。

スマートフォンのアプリのダウンロード状況(n=394)(単一回答)

タブレットになると、65歳以上のほうが有料アプリのダウンロード率が高くなるのも面白いですね。

タブレット端末のアプリのダウンロード状況(n=200)(単一回答)

ちなみにそれぞれの利用率は「スマートフォン」が4.7%「タブレット型端末」が2.4%とのこと。これも意外と高いと思いませんか?

普段利用しているインターネットサービスはオンラインショッピング

だそうです。「オンラインショッピング」「個人ブログ」「オンラインゲーム」については、女性が男性よりも利用率が高い傾向にあるようです。

インターネットで利用するサービス(n=8,393)(複数回答)

平日のメディアへの接触時間はテレビ、パソコンが長い

テレビの接触時間が長いのは当然ですが、グラフをみるとテレビとパソコンの割合がとてもよく似ているのが興味深いです。「シニアにはテレビ」と盲目的に信じている人はもしかすると少し考え方を改めたほうがいいかもしれません。

平日メディアへの接触時間(単一回答)


最も信頼しているメディアは新聞、信頼していないメディアはテレビ

衝撃的な見出しですが、テレビは信頼しているの回答割合が高いのと同時に、信頼していないの回答割合も高いんですね。最近苦言を呈されることが多い新聞は、こうやって見ると圧倒的な信頼を獲得していることがわかります。(生き残りのヒントはこういうところにあるかもしれませんね。)

メディアへの信頼度(単一回答)


一昔前の”高齢者”のイメージを持っていると、マーケットを読み間違えてしまいそうです。やっぱり定期的に自分の中のシニア層をアップデートしなくちゃと思いました。

関連情報:

2011年8月18日木曜日

調査会社のNielsenがスマートフォンに関する実測ベースの調査結果を発表

本日、調査会社の Nielsen よりスマートフォンの利用に関する面白い調査結果が発表されました。

Nielsenのブログ「Nielsen Wire」によると Nielsen Smartphone Analytics と呼ばれるこの調査は、iOS と Android が搭載された計測対象のスマートフォンに対して、計測用のソフト(on-device meter)をインストールしてそのソフトが収集するログを分析するもののようです。つまり、アンケートのようにパネルの記憶ベースではなく、実測ベースで利用実態を知ることができる調査と言えます。

その調査結果が紹介されていました。(あくまで米国での調査結果です。)

まずは、Android ユーザーのアプリとウェブの利用時間とその割合です。

Android-ODM-apps-vs-web

Android ユーザーはアプリとウェブを平均一日に56分利用しているそうです。そしてその割合はアプリが67%、ウェブが33%と、時間でみるとアプリの方がウェブの2倍使われています。

そしてさらに興味深いのがこちら。

Android-ODM-apps-distribution-August-17

アンドロイドマーケットには既に25万以上のアプリが存在するにもかかわらず、上位50位以内のアプリだけで利用時間の61%を占めています。つまり、残りの39%の時間を249,950以上のアプリが奪い合っている状況なのです。

面白いですね。

ちなみにこのレポートに関しては9月にWebinar(ウェブで参加できるセミナー)が実施されるそうです。英語でのセミナーになりますが、こちらも楽しみですね。

Webinarの申し込みはこちらからできるようです。

All About Android: Insights from Nielsen’s Smartphone Meters

ご興味のある方はぜひ登録されてみてはいかがでしょうか。(私は関連会社の社員ではありますが、このセミナーには参加したいなぁ)

関連情報

成果が伴わないストーリーシンキングの秘密

今回も日経ビジネスAssocieの「ストーリーシンキング」特集から。

この「ストーリーシンキング」特集、ストーリーシンキングという軸で各界の著名人のインタビューが掲載されているのですが、私にとって最も印象的だったのが、オイシックス社長の高島宏平さんがおっしゃっていた

「ストーリー」×「実行力」=成果

という言葉です。



ロジカルシンキングを駆使していくらきれいなストーリーを描いたところで、実行力を伴わなければ成果にならない。当たり前と言えば当たり前なんですが、意外と気づいていない人が多いように思えます。

特に危ないのが組織の中で「ストーリー」と「実行力」を役割分担しようとする発想です。わかりやすくいうと「私が『ストーリー』を担当しますので、あなた方は『実行力』を担当してください」というパターン。このパターンは、ストーリー担当が作るストーリーがきれいであればあるほど、実行力担当には、シラケたストーリーに見えるものです。

ストーリーと実行力の掛け算がどのような成果を生み出すのかは、実行力を「やる気」ととらえると理解しやすいでしょう。
例えば90点のストーリーに対してやる気が0.1であれば9点の成果しか出せません。
逆に、たとえ60点のストーリーでも、やる気が2あれば120点の成果が出せます。

成果はまさに実行力次第なのです。

で、前述のパターンで厄介なのは、実行力の部分を他人事ととらえている点です。こういう人は「私のアドバイスはロジカルで素晴らしいのに、皆さんの理解力と実行力が欠落していて大変残念です。」という発想に陥りがちです。

でも実際は、みんなの理解力が欠落しているのではなくてそのストーリーがみんなにとって腑に落ちてないだけということはないでしょうか?そのストーリーを理解、納得しないとみんな行動できないのです。では、どうすればいいのでしょう?やっぱりロジカルシンキングによる説得でしょうか?

・・・違うと思います(笑)その答えは簡単です。それ以上美しいストーリーを考える代わりに、自分自身が実行力になってみるのです。極端な話、いくらロジカルで非のの打ちようのないストーリーを熱弁したところで、口だけの人のいうことなんて誰も聞きませんよね。それが許されるのは一部の”先生”だけです。

高いところから眺めていた森も、木の下から見上げればいろいろなものが見えてきます。
上空から叫んでも届かなかった声が、そばに立てば囁くだけで伝わるものです。

素晴らしいストーリーを紙芝居で終わらすか、現実のものとするかは、”実行係”の実行力ではなく、ストーリーテラー自身の実行力次第と言えます。実行力を伴って初めて成果を生むストーリーなのに、自ら実行力を切り離そうとしていませんか?

成果が伴わないストーリーシンキングの秘密はこんなところにあるのではないかと、この記事を読みながら思いました。

2011年8月16日火曜日

フレームワークを使いこなす最善の方法

今朝の日経ラジオ「アサカツ」はゲストゲストにインディゴブルー社長の柴田励司を招いて「ストーリーシンキング」についてのお話でした。

ストーリーシンキングは、ビジネスパーソンにとって必要な論理的な思考をストーリーに沿って考えていくというものです。

その考え方の中で、「空・雨・傘+HTD」というフレームワークが紹介されていました。「空・雨・傘+HTD」の詳細については、日経ビジネスAssocieの最新号をご確認いただければと思いますが、その放送内容を聴いて感じたのは、フレームワークの有用性です。

いまさらなにいってんの?

と思われるかもしれません。フレームワークの有用性なんて前から知っているよ、と思われる方も多いでしょう。でも、その一方で、フレームワークを本当に使いこなしている人はあなたの周りにどれくらいいますか?また、あなた自身、フレームワークを使いこなせていると自信をもって言えますか?自信を持って「はい、使いこなしています!」と言える人の方が少ないのではないでしょうか。

わたしはフレームワークは決して知識レベルで扱うものではなく、自分の腑に落ちない限り使うべきものではないと考えています。ではどうしたら腑に落として、フレームワークを使いこなすことができるようになるのでしょうか。

最善の方法は自らフレームワークを作ることだと私は考えています。

自らの経験の中で作ったフレームワークは決して忘れることがありません。そして、これほど自分の業務に適用度の高いフレームワークは他にないでしょう。多くの経験を積んだビジネスパーソンほど、多くの自分流フレームワークを持っているはずです。ずばり私がそうなのですが、今までなんとなく仕事をこなしてきた人はこれからはフレームワーク化を意識して仕事を進めてみると良いかもしれません。フレームワーク化は物事を自分の土俵に引き込む技術ともいえそうです。厳しい時代を生き残るための強力な武器になるのではないでしょうか。

ちなみに私は、自分の資料の中にフレームワークを羅列して自己満足に浸っているような人が苦手です(そういう人に限って、肝心なことが伝えられてないんだもん)。フレームワークを使うことはあっても、フレームワークに使われることがないように注意したいものですね。

関連情報:

2011年8月11日木曜日

Youtubeのビデオの好きな部分だけを切り出して共有できる「TubeChop」

Youtubeにアップされているビデオを友達に共有する際、「このビデオの2:46から3:15までを見てほしい」みたいなことを思ったことはありませんか?

そんなときは「TubeChop」を使うといいかもしれません。

TubeChop はYoutubeのビデオのリンクを入力すると、開始位置と終了位置を表すスライドバーが表示され、Youtubeの好きな部分だけを共有するリンクを作成することができます。

見たほうが早いかもしれませんね。TubeChop で切り取られた下記の動画を見れば使い方は一目瞭然。



アカウントなどを作る必要がないのもいいですね。

TubeChop を使えば、かっこよく動画を共有できそうですね。

TubeChop
http://www.tubechop.com/

2011年8月4日木曜日

”寡黙”なデータと”語らせ上手”なアナリスト

アナリストのお仕事をしていると日々いろいろなデータを見ることになるのですが、たまに単純な集計の結果にも関わらず、一目見ただけで誰もが「お!」と思うようなデータに出会うことがあります。アナリストとしてはこういうデータに出会えるととてもラッキーな気分になるものです。私はこういうデータを「雄弁なデータ」と心の中で呼んでいます。

しかし実際はというと、ほとんどの場合においてデータは「寡黙」です。何か秘めているにも関わらず、自分から進んで語ろうとはしません。

私はこのような寡黙なデータの口を割らせて語らせることこそがアナリストというお仕事の醍醐味だと思っています。実際、経験を積んだアナリストというのは、なんというか寡黙なデータに対しても「語らせ上手」なんです。データのくすぐり方を知っているというか。(これは「データを恣意的に使う」というような話とは全く別のレベルの話です。)

アナリストって地味な職業ですけど、こういうところって面白いと思うんですよね。

で、結局は何が言いたかったかというと、「そのデータ、表面だけ見てても面白いものは見えてきませんよー♪」ということなんですけどね。ええ、自戒の念を込めてってやつです。

2011年8月3日水曜日

大人層へのマーケティングがニンテンドー3DSの寿命を縮める?

私が会社の打上げで「ニンテンドー3DS」を当てたその翌日、奇しくも「ニンテンドー3DS」の値下げが発表されました。

この値下げは業界に大きな波紋を呼びました。なぜなら発売から半年足らずでの大幅な値下げとなったからです。

ニンテンドー3DS

これについて任天堂の岩田社長は「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓」とし、ゲームメーカーからは好意的な反応があったと語ったそうですが、私は個人的には、ニンテンドー3DSの将来はなかなか厳しいと思っています。

いくつか理由はあるのですが、私が特に触れておきたい理由が、スマートフォンの隆盛です。

私自身、(会社の打上げで当たった)ニンテンドー3DSを触って感じたのが、

下手な3DSのゲームよりも、スマートフォン対応のアプリのほうがよっぽど面白くて、しかも安い

ということです。

スマートフォンがニンテンドー3DSのユーザーを奪っているのではないかという意見について任天堂は

「これまでと同じように、因果となるものは確認されなかった」

としていますが、ほんとうにそうでしょうか?

都市部に住んでいる人なら、1年くらい前まで通勤電車であれほど見かけたDSユーザーの姿が、最近明らかに少なくなっていることに気付いているのではないでしょうか。そしてその通勤電車の中で、スマートフォンユーザーが明らかに多くなっていることに気付いているのではないでしょうか。

特にニンテンドーDSシリーズは、これまで子供向けと考えられてきたゲーム機の市場を大人にまで広げたマーケティングの成功例として語られてきました。

DS・PSPの年齢別所有数(2011年3月末時点 株式会社メディアクリエイト調べ)
DS・PSPの年齢別所有数(2011年3月末時点 株式会社メディアクリエイト調べ)
※年齢構成比(累積)に販売台数を掛けたもの

しかし今、その大人層、特にサラリーマン層を中心にスマートフォンへの移行が加速しています。
スマートフォンにはゲームを含めバラエティに富んだアプリが豊富にそろっています。ニンテンドーDSシリーズで大人層に人気が高かったような学習系アプリも選ぶのに困るほど充実しています。

つまり、「大人層に強いニンテンドーDS」の十八番をスマートフォンが奪っている格好になっていると考えられるのです。

ニンテンドー3DSが市場で再び輝きを取り戻すためには乗り越えないといけない大きな壁がいくつもあるように思えるのですが、個人的には今後任天堂さんがどのような必殺技を見せてくれるのか期待したいところでもあります。

参考記事:「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓」 3DSハードは逆ざやで赤字に

2011年8月1日月曜日

「インターネット白書 2011」発売、特別記事「震災復興とインターネット」を収録。

先週末、インプレスジャパンさんより「インターネット白書 2011」が発売されました。

インターネット白書2011

インターネット白書は、日本のインターネット利用動向をまとめたデータ&レポート集です。1996年以来毎年刊行され今年で16年目を迎える、業界では定番の資料書籍といって良いでしょう。今年は震災の影響で発売時期が延期されていましたが、先日ようやく発売となりました。

今年は3.11後の業界の取り組みを紹介しながら、インターネットの視点から「復興」を解説する特別編集版です。調査データと業界第一人者の執筆により、ネットビジネス、インターネット社会の今がわかる内容となっています。今回は僭越ながら私も一部、執筆を担当させていただきました。

付属CD-ROMには、プレゼンにすぐ使える独自調査データ90点のほか、本文の電子書籍版(PDF)が丸ごと収録されており、紙だけでなく手持ちのタブレットでも読めるハイブリッド書籍となっています!すごい!

個人で購入するにはちょっといいお値段なのですが、業務でネットを活用される方ならぜひ手元に置いておきたい一冊ではないでしょうか。

本屋で見かけたら、ぜひお手にとってご覧くださいませ!

『インターネット白書2011』発売 | インプレス R&D(プレスリリース)
http://www.impressrd.jp/news/110628/hakusyo_11

インターネット白書2011 財団法人インターネット協会(Amazon.co.jp)
http://t.co/BjW0BhF