この「ストーリーシンキング」特集、ストーリーシンキングという軸で各界の著名人のインタビューが掲載されているのですが、私にとって最も印象的だったのが、オイシックス社長の高島宏平さんがおっしゃっていた
「ストーリー」×「実行力」=成果
という言葉です。
ロジカルシンキングを駆使していくらきれいなストーリーを描いたところで、実行力を伴わなければ成果にならない。当たり前と言えば当たり前なんですが、意外と気づいていない人が多いように思えます。
特に危ないのが組織の中で「ストーリー」と「実行力」を役割分担しようとする発想です。わかりやすくいうと「私が『ストーリー』を担当しますので、あなた方は『実行力』を担当してください」というパターン。このパターンは、ストーリー担当が作るストーリーがきれいであればあるほど、実行力担当には、シラケたストーリーに見えるものです。
ストーリーと実行力の掛け算がどのような成果を生み出すのかは、実行力を「やる気」ととらえると理解しやすいでしょう。
例えば90点のストーリーに対してやる気が0.1であれば9点の成果しか出せません。
逆に、たとえ60点のストーリーでも、やる気が2あれば120点の成果が出せます。
成果はまさに実行力次第なのです。
で、前述のパターンで厄介なのは、実行力の部分を他人事ととらえている点です。こういう人は「私のアドバイスはロジカルで素晴らしいのに、皆さんの理解力と実行力が欠落していて大変残念です。」という発想に陥りがちです。
でも実際は、みんなの理解力が欠落しているのではなくてそのストーリーがみんなにとって腑に落ちてないだけということはないでしょうか?そのストーリーを理解、納得しないとみんな行動できないのです。では、どうすればいいのでしょう?やっぱりロジカルシンキングによる説得でしょうか?
・・・違うと思います(笑)その答えは簡単です。それ以上美しいストーリーを考える代わりに、自分自身が実行力になってみるのです。極端な話、いくらロジカルで非のの打ちようのないストーリーを熱弁したところで、口だけの人のいうことなんて誰も聞きませんよね。それが許されるのは一部の”先生”だけです。
高いところから眺めていた森も、木の下から見上げればいろいろなものが見えてきます。
上空から叫んでも届かなかった声が、そばに立てば囁くだけで伝わるものです。
素晴らしいストーリーを紙芝居で終わらすか、現実のものとするかは、”実行係”の実行力ではなく、ストーリーテラー自身の実行力次第と言えます。実行力を伴って初めて成果を生むストーリーなのに、自ら実行力を切り離そうとしていませんか?
成果が伴わないストーリーシンキングの秘密はこんなところにあるのではないかと、この記事を読みながら思いました。