2010年7月27日火曜日

ソーシャルメディアがオークションに再び挑む日

皆さんの中には、以前に「わぁでぃ」や「じゃマール」という雑誌があったのを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。これらの雑誌は個人広告情報誌と呼ばれ、いわゆる個人の「売ります・買います」や「仲間募集」などの情報が掲載された有料の雑誌で、90年代中盤から後半にかけてちょっとしたブームとなりました。

ところがこれらの雑誌は90年代後半に軒並み姿を消すことになります。原因はインターネットの普及でした。インターネットが一般に普及するにつれ、それまで個人広告情報誌に掲載されていたような情報はインターネットでやり取りされるようになったのです。特にインターネット上のオークションサイトの存在は大きく、個人間売買の市場はインターネットに大きくシフトしていきました。

ここ最近インターネット界隈ではソーシャルメディアがブームですが、歴史を振り返ると、私は前述の個人広告情報誌も立派なソーシャルメディアだったなぁと思うのです。
そこでふと考えたのが、個人間売買に関してはオークションサイトよりむしろ、ソーシャルメディアサイトの方が適しているのではないかということです。

そんなわけで、米国の事例を少し調べてみたところ、「Kelley Blue Book」の事例を見つけました。
Kelley Blue Bookはもともと中古自動車の売買情報をローカル誌として提供している会社です。そのKelley Blue Bookがソーシャルメディアサイト向けに販促キットを提供しているのです。このツールキット、なかなか面白くて、自分が売りたい車の情報を登録するとFacebookやTwitterで共有するためのページとリンクを作ってくれたり(SNS上に表示するための看板を作ってくれるイメージです)、車体に貼り付ける用の広告をプリントアウトすることができます。ちなみに車体貼付用の広告にはバーコードが印刷されており、それを携帯で読み取って、サイトにアクセスすると車のスペック情報などが見れる仕組みです。さらにiPhone用のアプリも提供されています。



Kelley Blue Bookによると、ソーシャルメディアサイト上で中古車が売りに出された数は2008年には130万台(そのうち79万台で売買成立)、2009年にはそれが190万台(うち130万台で売買成立)に増加、今年は取引が200万台を超える可能性も考えられます。

取引量が増えている要因として、ソーシャルメディアサイト自体の利用者が増加していることが考えられますが、別の要因として、ソーシャルメディア上の取引は「相手が見える安心感」があるということが挙げられるのではないでしょうか。これは既存のオークションサイトには無い特徴だと言えます。このような特徴がうまく活用されればソーシャルメディアサイトがオークションサイトの競合になる可能性も十分考えられます。(ただし、日本ではまだほとんどが匿名でのソーシャルメディア利用で、それがこの流れの足かせになる可能性はあります。)

また今後はオークションに限らず、ソーシャルメディアというプラットフォームを利用して、個人と個人、個人と企業の取引の仲介を行うようなビジネスモデルが増えることは間違いないでしょう。

source:
Seller's Toolkit - Kelley Blue Book
http://www.kbb.com/sellers-toolkit/