2010年7月24日土曜日

ソーシャルメディアモニタリングツールを評価する際の5つのポイント

イギリスの調査会社のFreshMinds Researchが主要なソーシャルメディアモニタリングツールの比較に関する白書を発表しました。

白書では、ソーシャルメディアモニタリングツールの評価項目として以下の5つを挙げています。

 1.カバレッジ
  カバーするメディアの種類、地域などそのデータがどこから収集されているか。
  ツールによってカバーする範囲は大きく異なる。

 2.センチメント分析(感情分析)
  ツールによる完璧なセンチメント分析は存在しない。センチメント分析機能の
  は大変有用だが大切なのはツールの限界を理解して使用することだ。
  分析の正確性もツールによっては、アグリゲートレベルで59%から87%と大きく
  異なる。これが個々の投稿レベルになると正確性はもっと低くなり、平均で
  全投稿のうち30%程度しかポジティブ/ネガティブを判別できていない。

 3.会話の地域特定
  その会話(投稿)がどの地域行われているかをどのように特定しているか。
  ツールによって地域特定の方法も異なる。

 4.会話のボリューム
  なにを投稿とみなすのか。リツイート、スパム、広告などの処理の方法はツールに
  よって異なる。良いリサーチャーなら知っているように、必ずしも
  サンプルサイズが大きければ大きいほど良いということではない。また重複を
  どのように処理するかはすべてのツールにとって重要な課題である。

 5.データの即時性
  会話がツールに収集されるスピードはクローラーの巡回頻度やツールがデータを
  処理するのに要する時間に制限される。これはツールのアラート機能としての
  有用性を左右する。

白書ではこれらの項目で主要なソーシャルメディアモニタリングツールを評価し、ポジショニングを行っていますのでご興味のある方はご覧ください。

 A comparison of Social Media Monitoring Tools
 http://shared.freshminds.co.uk/smm10/whitepaper.pdf

ただし、上記はあくまでツールを評価する際のポイントであって、サービスの導入を検討する際のポイントでは無いことを意識しましょう。ツールはあくまでツールであって、実際には導入やトレーニングをサポートする体制や分析の結果に対する洞察力やコンサルティングサービスの方が重要であることの方が多いでしょう(そういった意味では先日当ブログでも取り上げた「The Forrester Wave™: Listening Platforms, Q3 2010」がより参考になるかもしれません)。

FreshMindsは白書の最後で次のように述べています。
In our opinion, to get real value from any social media monitoring tool ongoing human refinement and interpretation is essential. Buzz tracking opens up opportunities for insight, but it is worthless without sufficient people resource and internal processes to act on salient information.
ソーシャルメディアモニタリングツール導入の際は、上記で挙げたような評価項目でツールの仕様を理解しつつ、最終的にはそれを利用する側の体制、サポートする側の体制も重視してサービスを選定することが重要だと言えるでしょう。